絵は、964ターボ用の一部分解したものです。そもそもウエストゲート(排気バイパスバルブとも言いますが)は、エンジンの排気ガスを利用してフィンを回し同軸上にあるもう一方のフィン(通常インペラーと言ってますが)を最大15万回転まわして高圧の圧縮空気をインタークーラーという熱交換器を通して100℃位から40℃以下に冷却し、空気中の酸素濃度を正常にして燃焼室に送り込む圧力数値を0,7kg/cm(大気圧1kg/cmを省略して)くらいに排気ガス側を調整する為の弁です。
オーナーがか、最近買ったのだがブースト圧が1,0近くまであがるのだが心配である、一度点検して欲しいとのこと、、、。
テスト走行した結果、ブーストコントローラー(社外品)が付いてたのでそれをOFFにしたりしたがダメ、、。それでこの装置の配管を外し、ノーマルの配管にしたりしたがそれもダメ、、、。そこでこれはウエストゲートが怪しいということになり、脱着分解とうことになりました。走行5万キロの程度の良い車両でしたが過去に脱着した形跡なく、固定してるM8の8本のスタッドボルトとナットは全て一体化したように錆びついており、特殊工具にてなんとかねじ切りエクゾーストマニホールド(ヘッダーと言うのが正しいが)より取り外しました。
頭のウエストゲートバルブのブースト圧を調整するダイヤフラムの付いてる部分を外しました。外観上は何も問題ありませんでしたが、シリコンゴム製のダイヤフラムが注意して見ると絵のように一部分が薄利してました。この製品は真ん中の特殊繊維で織られてクロスマットをシリコンゴムで含侵(しみこませる)したものですが、バルブが上下にスライドする度に疲労して裂けたのです。よくある事例です。
このダイヤフラムは、自分はくわしいのです。50年初頭ブリッツブランドにて色々
パーツを開発しておりましたが、このウエストゲートもポルシェのものを手本にオリジナルな物を作る上げました。そして一番の重要な部分であるダイヤフラムの製作にはこの特殊な織り方をした繊維を製作して何度も試行錯誤して完成させました。この製品はポルシェ社にも検討材料ということで送った覚えがあります。それくらいポルシェ社でも耐久性の面でトラぶっておりました。それが証拠に初期物(930は全て)の964用ウエストゲートのダイヤフラムはゴムはブチルゴムという黒色の単なるゴム製でしたが、こちらから送ったシリコンゴム製のダイヤフラムを見て、耐熱性の高いシリコンゴムに変更となり
色も白色(シリコン製でしかだせない色で着色)となったのであります。
その当時のシリコンとこの特殊な織り方の又、特殊な繊維はポルシェ社にとってかなりショックだったようです。あちらに真似されました。
とまあ自慢話に花が咲いたところで元に戻しますと、その当時日本のポルシェのディラーではこのようなトラブルが出れば即新品のウエストゲートと交換でして、今でもパーツでは出ません。私共はそれを用意しております。
ダイヤフラムが破れた場合どうなるかというとブースト圧をコントロールする空気圧力が反対側に洩れる為、そうです、バルブは作動しにくくなるので排気ガスは殆どターボの排気タービンを回して大気に出る為、ドンドンブースト圧が上昇するのです。
最悪の場合はエンジン破損もありえます。まあ其の前に燃料カットのセフティが働き異常を知らせますが、、、。
最近このポペットタイプは装着率が著しく減少しました。、934,935、930,964,959,962C又、フェラーリF40がこれらを採用してました。
それ以外は、アクチュエータータイプとなり排気バルブはターボ排気側と一体化となりバルブは、インペラケーシングに取り付けられたアクチュエーターとロッドで作動します。
BWM2002ターボ(1960代初の市販車)は、その当時まだウエストゲートは開発されておらず、なんとインテークマニに取り付けられたエアリリーフバルブ(ようは空気圧調整弁)を取り付けてたのです。
ポペット式は国内ではブリッツブランド(開発は、現サード)が最初でその当時HKSさんでもまだ未発売でした。またまた自慢話です。