イタリアにメカニックとして、訪欧したY氏が、日本に
戻って、仕事の糧にした商品があります。
これらは、イタリアでは、老舗のカンパニョロの商品
です。
昭和60年ころのお話。

アルミ製のワインオープナーです。
何かの販促品でしょう。
Y氏は、カンパニョロ社に買い付け、国内の商社に
販売したのです。
今話題の東急ハンズで、販売されていたそうです。

カンパニュロの刻印です。
カンパニョロ社は、アタシが幼少のころから、すでに
国内では、自転車の部品メーカーとしても有名でした。
中学生時代、カンパニョロ製のロードバイク用ブレーキ、
ボレーレバー、ドロップハンドル&ポスト、クランク、
サドルポストなど、アルミ軽合金製のそれは、美しい
商品で、あこがれました。
高価ですが、友人の中には、もちろんお金持ちのお子さんも
おられ、その野郎が、会うたびに、その愛車のバイクの
部品が、カンパに変わっていくのを、羨望の、憎たらしい、
恨めしい目で、見ていたのでありまする。

カンパニュロ社は、その後、日本では、自動車用
アルミホイールなど、FET (極東貿易)の初代の
社長であります、小山氏が輸入元として、販売されました。

クロモドラ社のマグネシウム鋳造のホイールも一世を
風靡しました。

初代小山社長は、アタシがまだ、シグマに学生時代
広島から手弁当で、グラチャンシリースのレース前に
応援に行っていた当時、昭和48年ころから、現在の
HKS 社を設立されたばかりの、長谷川さんが、小山氏
から依頼され、国内初のターボKITを開発されました。

当時は、シグマ社と、HKS社は、おなじトヨタ自動車の
加藤氏と、トヨタ7のエンジン開発で、ヤマハにおられた
長谷川氏は、おなじカマの飯を食われた仲間で、
同時期に会社を辞めて、シグマと、グラチャン用2L
エンジン開発を目的とした、HKS社を発足されていて、
商売として、小山氏が、加藤氏と長谷川氏に、ターボ
KIT開発を依頼されました。
名称”FETターボ”であります。

車両は、ニッサンスカイライン KGC10,通称
ハコスカに、北米レイジェイ社製のターボを
組み付けるKITで、当時は、2バレルのキャブレター
の上に、直径40cm、厚みが10cmくらいの
アルミ鋳物製エアサージタンクを組み付けるKIT
でした。
これが、曲者で、L型エンジンは、カウンターフロー
といって同じヘッド側に吸気、排気ポートがあり、
エクゾーストマニの熱が、サージタンクが真上に
あるので、キャブ本体がパーコレーションを起こし、
よく、不調を起こしてました。
アタシャ、当時、シグマ社近くにもお客さんが
おられ、30Zのエンジン不調で、来店された方の
エンジン点検をしたものです。

そう当時は、そうやってターボKIT時代を迎えたので
あります。
アタシは、加藤氏から、正式入社した時点で、レースの
合間に、ターボの単品作業をおおせつかりました。
エンジンは、多岐にわたりました。
レーシングカーグループ6車両は、オープン2
シーターで、シシーは、アルミモノコックのついん
チューブといって、超ジュラルミン材、17S,52S
材などで、プレス機で、箱型整形し、リベットと接着剤で
モノコックを製作、センターのバルクヘッド以降は、
クロモリ鋼材で、パイプフレームを溶接して、エンジン&
ミッションを乗せれば、出来上がり、、。
あとは、サスペンション、ブレーキ、クーラー類、
ガスバックなど、構成は、簡単な物でした。
そう、なんざ、レーシングカーって、こうやって作れる
のか、、と。
あとは、エンジン、ミッションをどう、選ぶか、、。
で、外板は、FRPで、整形して、くっ付けて、、。
ま、言葉では、簡単ですが、実際は、その当時、助っ人
がたは、シロウトに毛が生えたような実力で、そりゃ、
23時間働いてました、あとは、寝っ転がって、、。

で、溶接(スチール、アルミ、マグ、チタン)と体で
覚え、排気管を砂を詰めて、焼曲げ、、。
アーム類も、クロモリ管を切って溶接、。
ので、ターボKITの構成部品は、そんなに、苦労を
知りませんでした。
ま、最初にターボをどこに設定するとか、排気管形状、
エアチャンバーの形状、ターボのオイルラインを
どこから取って、どうやって戻すか、、。
燃料ポンプをどこにくっ付けて、レギュレタを入れ、
インテークパイプ、エクゾースト配管など、見よう見まねで
やっていきました、。
燃調は、一番苦労しました。

多くは、T型エンジン、R型、M型、K型のトヨタ製、。
ニッサンは、L型、LD型(ディゼル)、三菱の4G型、
単品作業の為、アルミ製サージタンク(カマボコ型)を
作り、ソレックス製ツインチョークや、純正2バレル
キャブなど、殆どが、キャブ車でした。

ソレックスなどは、メインジェットなど、揃ってましたが、
純正キャブの場合、メインジェットは、小さなドリルで、
穴を拡大して、、。
お手本の教科書などなく、全て手探りで、、。
とまあ、苦労話に花が咲きます、、。

カンパニョロのお話から、こうやって、全く関係
無いお話に変わるのが、アタシの特徴であります。

これは、プラスチック製の安価なタイプ!
それでも、当時、1万円位したそうです。

これは、通称”パイプレンチ”!!

ここにも、カンパの刻印が、、。

これは、ワインオープナーと関係ある、くるみ割り器。

イタリア人の心意気を感じさせます、、。

ということで、カンパニュロのちょっとしたお話
でした。
昔のことは、よーく覚えてます、老人になった証拠!

つづく。